2020年4月から丸3年。
完全に元通りとまではいかずとも、いろいろなことが緩和されてきましたね。
映画館や劇場などの座席制限や飲食店のパーテンション。拍子抜けしてしまうことも多々あります。
日本から海外へ行く際も、接種証明等も必要なくなり以前のようにまた旅行を楽しめるようになりました。
新宿を歩いていても、海外からのお客様をみることも多くなりましたね。
余談ですが、先日道を尋ねられ、カタコトの英語を使っていたところ、「日本語で大丈夫です」と返されてしまうという失態を演じました。人生でもあまりないレベルの情けないエピソードです。
遠くに住んでいる家族と気兼ねなく会ったり、友達や同僚先輩方と一緒にお酒を飲んだり、コンサートで推しと一緒に歌ったり…
ここ3年の間に制限されていたことには「楽しい」「面白い」が凝縮されていたのだと再確認しました。
というわけで、行ってきました!芸術の都パリ!
数行前のエピソードで不安になったかと思いますが、問題なく帰ってきています。(問題があったのに気づいていないだけかもしれませんが…)
シマダグループでの実現が難しかった「楽しい」「面白い」に、海外研修があります。
例年海外研修を行ってきましたが、2019年のロシアを最後にここ3年はありませんでした。(今考えるとロシアというのもすごい…!)
今回のパリ研修へは建築事業部から12名、開発営業部から4名が参加しました。
今回のブログでは建築チームの様子をご報告いたします。
初日は初めにパリ市内を散策。
ノートルダム寺院、パリ市庁舎、ポンピドゥーセンター、サマリテーヌ、ピノーコレクションを散策しながら見学しました。
ノートルダム寺院は2019年の火事以降、現在も修復中。
クレーン車とノートルダム寺院は「今」しか見られない姿です。どことなくサグラダファミリアの姿と近しいものを感じます。
ノートルダム寺院は2024年12月完了予定とのこと。
サグラダファミリアは2026年とのこと。140年以上も工事が進められているそうですが、意外ともうすぐ完成するのですね。
ちなみに、横浜駅も1915年の開業以降、工事が完了したことがないんだとか。
余談ですが、横浜駅が自己増殖をしていく『横浜駅SF』という小説が横浜の有隣堂に山積みされていたことがあります。今でも内容が気になっているので、近いうちに読んでみようと思います。
話が私の地元までそれたので、地球の反対側まで戻します。
パリの街中を歩いていると、ポンピドゥーセンターの異様さを肌で実感することができました。
想像していたよりも、足場がそのまま!という印象。これは「工事はいつ終わるのか」と完成後に問い合わせがくるわけです…
ピノーコレクションは、安藤忠雄さんの設計。
日本でいくつか安藤さんの建築を見ましたが、パリの古い建築と安藤さん特有のコンクリートの筒がこんなにもマッチするとは。
驚きとともに感動しました。
午後は建築メンバーのみでコルビュジェ作品を二つ見学。
アトリエ・アパルトマンでは色使いや建具など、公共建築ではあまりないものを間近で見ることができました。改修作品も日本にはなく、古い建築が大切にされているパリ、コルビュジェのお膝元のパリならではの体験でした。
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸では、近代建築5原則の成立を見学。
2日目は少し(かなり)足をのばしてフランス第二の都市、リヨンへ。
リヨンは2つの川が流れる美食の町ですが、まずは中州の再開発されているエリアへ。様々なデザインの共同住宅が立ち並んでいる様子にワクワクしました。ガイドさんの話によると共同住宅を建てる際、何戸かは低所得者用の居室を設ける条例があるのだとか。
川沿いを進み、コープヒンメルブラウ設計のコンフルエンスミュージアムも見学
午後はリヨンからも足をのばし、コルビュジェ設計のラトゥーレット修道院へ。
一番大きな礼拝堂
外観のイメージの強い作品でしたが、内部空間の持つパワーに圧倒されました。
光によるイエスの表現、響き、計算されつくされた巨大空間に飲み込まれそうな感覚にもなります。
圧倒的に時間が足りない!という反省もありましたが、とても良い街でした。私のまた行きたいリストに追加です。
3日目は、パリの現代建築とルイ・カレ邸を巡りました。
MAD設計UNIC
パリの中心部は新築が禁止されているそう。
そのため、初日に行ったサマリテーヌもガラス張りの建物というわけではなく、既存建物にカバーするようになっています。
一方パリの中心部から少し外れて、17区クリシー・パティニョール地区では再開発が進み、MAD設計のUNICをはじめ、様々なデザインの集合住宅が並びます。
パリでは、テラス席が多く設けられており、「外で過ごすこと」に大きな価値があるようです。
クリシー・パティニョール地区の集合住宅も例外ではなく、各住戸にバルコニーがあることが分かります。
どのような過ごし方をするのか想像しながら見学。バルコニーから手を振ってくれた人もいました。
午後はパリから少し離れ、ルイ・カレ邸を見学。
コルビュジェ作品とは少し異なり、身体に寄り添った「居心地の良い空間」が広がっていました。
アアルト自ら家具もデザインしたとのこと。写真などの資料では読み取れきれない細かなデザインが身に沁みます。
「その場にいる人のための空間」を実感し、感銘を受けました。
全日程をとおして、パリ全体のアート、デザインへの姿勢に驚き、感動しました。
建物の改修から、お菓子のパッケージ、飲食店のテーブルの配置、インテリアのチョイス。人々の選択にはデザインが常について回っているようでした。
3日目のクリシー・パティニョール地区の見学の際に聞いたのですが、
集合住宅を建てる際、金額の数%はアートに使用しなければならないという条例があるとのこと。
アート、デザインが、社会全体で不可欠なものとしてあることを実感し、大きな収穫になったと感じています。
この研修を糧に、人々に寄り添う時間と空間をデザインしていこうと気持ちを引き締めています。
えっちゃん