皆様、こんにちは!
シマダアセットパートナーズに春から新卒で入社しました、Y地です。
今回は、先日行われた工学院大学の建築学部3年生に向けた「建築実務特別講義」を報告します!
当日は、3年生以外にも興味を持った多くの学生が集まってくれました。
テーマは、
不動産デベロッパーからみた『お金・投資』と『建築意匠』が不動産価値を高める話
シマダアセットパートナーズとこれまで多くのプロジェクトを行ってきた、建築デザイン学科の伊藤博之教授と、弊社代表の佐藤悌章が登壇し、
「土地の価値を高める意匠」に加え、普段の大学の授業ではなかなか触れる機会の少ない「リアルなお金とビジネスの仕組み」について熱く語られました。

伊藤博之教授(左)と佐藤悌章社長(右)
今回は、当日の様子と学生からいただいた感想、そして同じく建築学科を卒業した新卒の私自身が社会に出て痛感したリアルなギャップをお届けします!
■ 建築学科を卒業して気づいた「ギャップ」
ブログの本題に入る前に、今回の講義テーマを聞いた時、新卒である私自身が強く感じたことからお話しさせてください。
大学では「お金に関すること」をほとんど教えてくれません。そのため、今回の授業は私自身にとっても、改めてお金について向き合う大きなきっかけになりました。
実際、会社に入ってから毎日のように「コスト」のことを考えるようになりましたが、正直、学生時代とのギャップに驚いています。
”コストを抑えつつ、いいものを作るということは、建築を作る上で非常に大事なこと”です。
それにもかかわらず、建築を学び始めてから6年間、大学でリアルな数字にまったく触れてこなかったのは、今考えると少し恐ろしいことだとすら感じています。
建築の道に進むかどうかにかかわらず、生きていく上でお金は重要です。私自身「投資」の仕組みも入社してから初めて知ったことばかりでした。
だからこそ、今回の「お金と意匠」というテーマは、これからの建築界を担う学生の皆様にとって非常に有意義なものだったと思います!(私も学生の時に聞きたかったな……笑)

■ 講義で紐解く:建築意匠の力が「不動産価値」を高めるということ
講義では、建築学科を卒業し、現在は不動産事業をとりまとめる佐藤社長により「デザインとお金」についての講義が行われました。
〈土地の価値を高める建築意匠の力〉
シマダアセットパートナーズが強みとしている、変形地・旗竿地を長屋形式で蘇らせる「スキマ」の価値創出についてお話がありました。
従来は「安い」と敬遠されがちだった旗竿地に、建築意匠の工夫を掛け合わせることで、土地の資産価値を一気に向上させる手法です。これはまさに、不動産的目線とデザインの目線を掛け合わせた仕組みです。


「サクラノキテラス」
また、弊社が手掛けるホテルや高齢者向け住宅のリノベーションについて、それぞれホテル&レジデンス六本木、ガーデンテラス大和桜ヶ丘の事例をベースに、建築価値を高める手法が紹介されました。
おんぼろだったエントランスや客室、外観、食堂などが高級感あふれる空間へと変化しており、デザインには「お金に代える力」があることを強く実感しました。

「ホテル&レジデンス六本木」の改修例
更に、若者の減少により需要が低下しているバブル期に建てられた社員寮を、高齢者向け住宅へと変換することも紹介にあり、社会に応じて柔軟に転換していく企業的な目線も学生の皆様に伝わったのかなと思います。
〈お金、投資の話〉
学生の皆様にとっては新鮮だったであろう「利回り(投資額に対して年間何%の利益を生むか)」の計算も行いました。
建築デザインを工夫することで、家賃を上げ、物件価値(数字)をロジカルに高められるというデベロッパーの面白さを、佐藤社長が熱弁しました。
〈伊藤先生と社長のセッション「建築デザインとコストのせめぎあい」〉
講義の中では、長年タッグを組んできたお二人ならではのリアルなトークセッションも繰り広げられました。
設計側の視点とビジネス側の視点、それぞれの立場から語られる「デザインとコストのせめぎあい」のお話は、実務のリアルな空気感が伝わってくる非常に深い内容でした。
デザインとコストは同時に考えるのは難しい。
しかし、コストを抑えながらデザイン性を高めなければならない。
このジレンマが難しさでもあり、やりがいだと感じました。

■ 授業を受けた学生の皆様からのリアルな感想!
講義終了後には、学生の皆様からたくさんの熱い感想シートや、非常に鋭い質問をいただきました!その一部をご紹介します。
- 「デザインは見た目の良さだけじゃなく、不動産の価値や利回りを上げる力もあることを知り、大変勉強になった。」
- 「不動産は建物を売買するだけでなく、時代や利用者のニーズに合わせて価値を維持・向上させることが重要だと分かった。」
- 「お金の話になると生々しく感じてしまい避けていた部分があったが、プライスレスのものをつくるといった視点で仕事を行っていきたい。」
また、質疑応答の時間には、
「デザインや感動の価値は数値化しにくいですが、コストとの折り合いをどのようにつけるのですか?」
「デザインにお金をかけることは、長期的にどのような投資価値につながるのでしょうか?」
といった、実務さながらの深い質問が次々と投げかけられ、学生の皆様の熱量の高さに私も圧倒されました!

■ まとめ:建築学生は「理系脳と文系脳、両方鍛えられる最強の職」!
佐藤社長が最後に語ったのは、「建築万能説」です。
建築学生は、図面や力学を計算する「理系的な物作りの力」と、コンセプトを言葉で表現しプレゼンする「文系的な伝える力」の両方を、日々の設計課題やエスキスを通じて自然と鍛え上げています。
実際、弊社グループのトップ層(財務責任者、ホテル現地法人社長、内装・デザイン責任者、酒蔵の蔵元社長など)には建築出身者が数多く活躍しています。建築で培った能力は、皆さんが思っている以上に将来の選択肢を広げてくれる強力な武器になります。
私自身、新卒として入社し、痛感していますが、大学の枠を越えて「お金」や「ビジネス」の視点を取り入れるだけで、自分の描くデザインはもっと強く、説得力のあるものになります。
改めて、今回の「お金と意匠」というテーマの講義は、私が痛感したギャップを少なからず減らすお話、きっかけだったのではないかと思います!
最後に、未来の建築界を担う工学院大学の皆様、熱心に耳を傾けていただき本当にありがとうございました!これからも挑戦を続ける学生の皆様を全力で応援しています!
Y地
建築デザイン学科 伊藤 博之 教授
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社日建設計を経て、1998年にO.F.D.A.を共同設立、1999年に伊藤博之設計事務所を設立。『天神町place』(2023年竣工)で、日本建築学会賞(作品)、JIA優秀建築賞、グッドデザイン賞金賞、Golden Pin Design Award 2025 Best Designなどを受賞。シマダアセットパートナーズと手掛けた作品として『サクラノキテラス』(2010年)、『HOTEL&RESIDENCE 六本木』(2012年)、『東新宿テラス』(2015年)、『ニシオギソウ』(2018年)など(計6作品がグッドデザイン賞を受賞)。2019年より工学院大学で教授を務める。

