SAPとして3年ぶりとなる、戸建プロジェクト、ついに竣工しました!
(プロジェクト詳細はこちら→【新規物件取得&着工】”中目黒戸建プロジェクト”始動しています!)
SAPとして ”久しぶり” の戸建、筆者としては ”人生初めて” の戸建設計。
入社以来経験してきた集合住宅の設計とは端的に言って ”検討の解像度” が違う。
間取りの自由度から、使用できる素材・設備・照明の選択肢まで 、 、 、何から手を付けてよいのか 。 。
とりあえず入社前の学生時代の経験を反芻してみました。
そんな時ふと思い出したのが「陰影礼賛」(谷崎潤一郎)。
(天下り的に読まされた当時読んだ本をこのタイミングで思い出すとは。。)

雑に要約すると(うろ覚えな上すみません。)、
・日本人は肌が白くない
・故に暗がり(陰翳)を求めた
・故に暗がりの中での美が発達
・なのに現代は電気使い過ぎ明る過ぎ。
→要は西洋の真似し過ぎ。
というような内容(だったと思います)。
そんな朧げな記憶から、
「日本古来の素材で、間接光を基本とし、素材の表情で構成された空間」
を目指しました。
また、今回の計画はSAP最高額の戸建ということでラグジュアリーな要素も必要です。
“ラグジュアリーな空間” と “陰影礼賛” を両立するモチーフとして、
「アマン東京」を参考にデザインをすすめいくこととなります。

そんな過程の中、完成した ”中目黒の邸宅” を紹介いたします。
□外観
― ダイアグラム ―
伝統的な日本家屋を想起させるような、三角屋根のシンボリックな構えとしました。

― 外装 ―
日本古来の瓦色 ”いぶし銀” 色のガルバリウム鋼板を屋根から外壁まで張り下ろしています。
― 内装 ―
象徴的な三角屋根の構え内部からは、”奥行きのある天然木” が覗いています。
― 接道 ―
接道している私道の仕上も外装と併せて縦に伸びるいぶし銀色のインターロッキング舗装としました。
それにより ”前面道路との全体性を持ったデザイン” となっています。
― 照明計画 ―
外構照明は最小限しか設置していません。
それにより、暗くなるにつれて外装は暗闇に消え、建物内部の天然木が間接光により建物の輪郭が際立ちます。

これらの要素により、
”日本古来の素材が引き立つ、重厚感のある外観” となっております。
□内観
― ダイアグラム ―
ホワイト・ブラック・ブラウンの三色を基本構成色とし、それぞれの “素材に差異を出す” ことで空間に表情をつけました。
― 玄関ホール ―
床は自然素材を表現した ”石目タイル”、框には ”御影石” を使用し、
正面の壁には ”ウォールナット調の天然木” 、織りげ天井の照射部には ”和紙” を使用しています。
東部には ”坪庭” があり、植栽の要素も加えています。
間接照明のみで構成され多種多様な自然素材に囲まれた開放的で上質なホールとなっています。

― マスターベッドルーム ―
玄関ホール同様、無垢フローリング・天然木パネル・和紙の自然素材に囲まれ、間接照明のみで構成された空間となっています。
すべての照明に調光がついており、就寝時も自然素材からの柔らかな光に包まれます。

― 悠室 ―
1つの居室ですが、ゲストルームや賃貸としても貸し出すことができるフレキシブルルーム”悠室”です。
賃貸利用を想定して、開口部は施錠することができる玄関扉を設備しています。
西側壁面には外部の”天然木羽目板と連続した木パネル”を使用し、内外一貫した仕様となっています。

―WIC・1F洗面脱衣室 ―
1Fには十分な収納力のあるWIC、洗面脱衣室・トイレ・シャワーユニット・キッチンを設備しています。
これらの住宅設備は悠室を賃貸として貸し出す場合にも利用され想定です。

― ダイニング ―
33帖のLDKは無垢フローリング・塗装クロス・織物で構成されています。
その中に重厚感のあるキッチンを配置することでデザインのアクセントとしてだけでなく、高級感を演出しています。
キッチン天板・背面はともに ”石目調の天然素材” を使用しました。
天井高は高くないですが、白を基調とした素材が水平方向に広がることで伸びやかなダイニングとなりました。


北側壁面の”織物”ですが、一部が”隠し扉”になっており、水廻りへと接続しています。
そんな遊び心も欠かせません。

当該物件に使用している設備も高級な仕様となっています。
具体的にValcucine製のキッチン、TOTO最高級トイレを設備しています。

― リビング ―
リビングは ”オーク調木パネル” に包まれた、最高天井高4.5m程度の開放的な空間となっています。
大開口により外部とも豊かに接続しています。
間接照明とともに象徴的なペンダントライトを設置することが可能です。

外部と内部との連続性を確保するために、壁面・天井共に悠室同様”天然木羽目板と連続した木パネル”を使用しています。

― 3F スカイルーム・ルーフバルコニー―
3Fは北側斜線により建物がきられ、天井高が低くなっていますが、大開口を設けることで開放的で居心地の良い空間となっています。
連続するルーフバルコニーは周辺に2階建ての建物が多く、視線が抜けます。

以上が ”中目黒の邸宅” の全容となります。
前述のコンセプトに沿って、
・重厚感のある色味
・日本古来の自然素材を生かした仕様
・間接光を基本としてその自然素材の表情を光源とした空間構成
を活かした ”光の表情を活かした建築” になりました。
SAPでは今後、「葉山別邸」「京都の邸宅」と戸建の計画が続いていきます。
日々アップデートされる空間構成・仕様のアイデアに乞うご期待ください!
NavY


