こんにちは。
“酷暑”という言葉を毎日のように耳にする日々ですね。。
そんな日はクーラーの効いた涼しい部屋でアイスを食べながらブログに目を通すのが至福ですね~!
さて、本題。
「GE(所在地名)」「(所在地名)アパートメント」「(所在地名)テラス」というような物件名がほとんどの中、
本物件の名前は、
「サクラシンマチ U」
不思議に思った方も多いと思います。
もちろん深く考えられた由来があります。
さてさて、脱線。
「~U」という名前、建築に造詣の深い読者の皆様であれば真っ先に思い浮かぶのは「White U」ではないでしょうか。
日本の誇る建築家・伊藤豊雄が設計し、1976年に竣工をした「中野本町の家」。
その「U」の字型から別名、「White U」と呼ばれているわけです。
(出典:FuturArc )
「White U」は、伊東豊雄の名を海外に広めた建築作品であり、その形態よりも実は空間の作用が注目されています。
U字型のプランではありますが、美しい湾曲した壁面と上から差し込む光による独特の空間美・その効果がより評価されています。
これにより、閉じた幾何学的な形態でなく、外部の都市や身体との関係性も含むものとされました。
(出典:De Metempsychose – La White U di Toyo Ito)
「White U」の「U」字型は、
・家族同士の息遣いを共有(美しい湾曲した壁面)
・プライバシーを確保しつつも外部と繋がる多様な空間(上から差し込む光)
を実現するために作られた形態です。
「実現したい空間」 → 「U」字型
というデザインの順番ですね。
話が本線に戻ります。
当該物件に関して、「White U」と異なり
「U」字型 → 「実現したい空間」
というデザインの順番です。
集合住宅において、「U」字型の敷地内通路を設けるメリットとして、
・前面道路からシームレスに建物内に引き込むことが出来る
・床面積を通常より広くとることが出来る
という2点が挙げられます。
上図に示すように、入居者様は街から滑らかに建築内に引き込まれます。
▼外観 – 前面道路から連続する敷地内通路
▼外構 – 雁行する外壁面により外装に表情がつくと共に住戸間のプライバシーを確保
▼U字型 -U字を描くスカイライン
逆に「U」字型の敷地内通路を設けるデメリットとして、
・建物が複雑になる
・整形の居室が取りづらい
等の点が挙げられます。
本計画ではそのデメリットを活かし、「複雑さをコントロール」しました。
各住戸を「居室」「水廻り」「階段」の3ユニットに分割、
つまり、3ユニット×9戸=27ユニットを平面的、時には立体的に組み合わせました。
それにより、
・住戸自体は複雑な形ながら、「居室」は整形
・すべての居室を角に配置(全住戸が角部屋ということ)
という空間をデザインしました。
▼01号室
▽勾配屋根を活かした高天井と多様な採光
▼02・08号室
▽「水廻り」とユニットを分割することで整然とした居室・二面採光を確保。「アクセント建具」に挑戦しました。
▼03号室
▽1階部分に駐輪場・作業場として利用可能な階段室
▽1階階段室と連続した整然とした居室
▽BF内に埋め込んだ、BFの上部・下部を共に照らす間接照明
▼04号室
▽1階階段室・2階水廻り・3階居室・ロフトと立体的にユニットを配置した住戸
▼06号室
▽1階階段室→階段→2階居室を滑らか繋ぐデザインの手摺
▼07号室
▽小上り下部に設けた引出収納
▼09号室
▽2階と3階をつなぐ階段を吹き抜けとし、開放性を設けた
▽整形・二面採光の3階居室・ロフト
「賃貸物件としての収益性を担保したうえで、それによって生じたデメリットを快適性に変換する。」
そんな「U」字型がもつ魅力を感じてもらえたでしょうか。
「~U」というブランドが今後より発展するように精進します。
※カタドルー①象る-象徴する
②型取る
Navy