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シマダグループと日本酒の蔵

category: staff-diary
2021.03.18

こんにちは!

昨年からシマダグループに日本酒の酒蔵(神奈川県伊勢原市の吉川醸造)が加わったことをご存知でしょうか?

 

以前からシマダのことをご存知の方ほど、おや?と不思議に思われたかもしれません。不動産・建築事業、介護事業、保育事業、ホテルに旅行、、、かろうじて飲食事業が関係あるのかな?という程度で、そもそもなぜ日本酒製造事業を始めたのだろうと思われる方が多いのではないでしょうか。

 

実はシマダは元々、昭和初期にお米屋さんから始まった会社なのです。米(=日本人の主食であり文化)への思いの強さから”フォー(米麺)”の店舗を運営しているのですが、そのシマダが米文化の粋ともいうべき日本酒に携わることは、むしろ必然的な歴史の流れだったのかもしれません。

 

吉川醸造について詳しくは下記まで。丹沢大山(雨降山)の麓にある、大正元年創業の酒蔵です。

インスタも始めました。
この酒蔵に私が(SAPと兼務の)代表として着任し間もなく半年ですが、日本酒造りというのはスサノオノミコトの神話の時代から連綿と続くわざだけあって、全貌の見えないまさに深遠なるものという感覚があります。基本的には米と水だけで!醸すものですから、杜氏(とうじ:酒造りの最高責任者のこと)や蔵人(くらびと)がそこから豊かな旨味や華やかな香りを自在に引き出している様は、まるで魔法のように目に映ります。
アルコールというだけでちょっと苦手、、、という方もいらっしゃるかと思います。特に日本人の約44%はアセトアルデヒドを分解する酵素であるALDH2を持たないか、その働きが弱くアセトアルデヒドが貯まりやすい体質なので、お酒に弱い人が多いのです。(実は自分もこの部類であまり飲めません。飲める人がうらやましい。。。)
飲み過ぎが体に悪いのは言うまでもありませんが、最近になって日本酒は「飲む量さえ間違えなければ」美容や健康によいということが明らかになって来ています。日本酒にはワインの10倍のアミノ酸をはじめ、700種類を超える栄養素が含まれていて、さらに吟醸香(吟醸酒や大吟醸酒に含まれる華やかな香り)には絶大な安眠・リラックス効果があることが研究で実証されているのです。
そのままで化粧水として(パッチテストはやった方がいいですが)もそのまま使えたりします。
純米酒がおすすめです。詳しくは吉川醸造HPのレシピコーナーへ。
ここで、少しは不動産・建築的なネタを書かねばならないという強迫観念に襲われたので、急に話が変わります。
いま蔵では、改修や整備などで必要になるであろう図面を作成するため、蔵の寸法の計測を始めたところです。もちろん蔵の内部も必要なのですが、巻尺などで測ろうにも巨大なタンクが所狭しと並んでいるので結構骨が折れるな、、、と思っていました。
スマートフォンにLidar(Light Detection and Ranging)スキャナーが実装されていること思い出し、ためしに蔵のなかの小部屋をスキャンしてみました。

タンクの上などはスキャンしていないので、抜けが多くまるで廃墟のようですが。。。裏表があるサーフェスモデルであることがわかります。

 

OBJファイルに書き出してみて3DCADソフトに入れてみました。メッシュがかなり荒れていますが、数値を見ると結構正確であることがわかります。

びっくりです。昔は物体の3Dスキャニングやデジタイズなどとても大変な作業で、計測器やそれを入力して計算するコンピュータも非常に高価なものが必要でしたが、まさに隔世の感があります。
私が大昔書いた修士論文が「建築モデルの簡略化の研究 / Study on Simplification for Architectural Model using CG」というものでした。建物の見え方として、遠く離れると大気の揺らぎなどで、人の目にはかなりぼやけます。遠い距離の建築を細部までギチギチに描写する、いわゆる一昔前のCGでは実のところ「それらしく」見えないだろう、距離に応じて適切に簡略化(データ量を削減して描写速度を上げる)した方が人の目にはそれらしく見えるであろう、という仮説に基づいたポリゴン簡略化法による3Dモデルの自動簡略法とその見え方についてまとめた論文でした(早口)。

また原爆ドームの3Dデジタイズ(離散的な数値に置き換えること)作業に関わったこともあります。目的としては、将来的にレンガが剥落したりしても、データさえ残っていれば永久にある時点での形状を再現することができるであろうというものでした。

 

建築の分野では結構必要な場面が多い3Dデジタイズ。研究室で高価なシリコングラフィックス社のワークステーションがなくても、今だったらスマホを使って違う発想でできたのでは、、、と思ったりなんかします。
最後に蔵人Yをスキャンしてみました。ちょっと粗めでしたが結構面白い。ついグリグリと神の視点でもてあそんでしまいます。
緊急事態宣言もようやく解除の方向となりました。伊勢原市の蔵に是非遊びにお出で下さい。
g.o.A.T.
(蔵の写真は稲垣佑季氏による。https://www.yuukiinagaki74.com/