まず、建物の立地について。
JR山手線『駒込駅』から徒歩2分で南側の眺望のいい高台にあります。
敷地南側の高台には幅の広い線路敷があり、また隣地側の南東側、南西側ともに視線を遮るものがないので三方に渡って開放的な眺望を得る事ができます。また3階以上の視線においては、敷地南側に位置する『六義園』の緑が見える事から、南側の眺望がとても豊かな立地であることもが分かります。
次に建物の外観について。
建物の外観については先ほどの立地条件を踏まえ、南側の開口部を最大化すると同時に、建物自体のコストや環境負荷などを抑える工夫を行っております。また建物の南側外観については、リズミカルな窓の配置と連動し、4色でモザイク状に塗り分けを行う事で、山手線側に対して印象的な立面をつくるとともに、モザイク柄で窓位置をカムフラージュするという効果も狙っております。
続いて建物の内部空間について。
南側に大きな開口部を確保するため、構造上の耐力壁は建物内部でXY軸ともにバランス良く配置しなければならず、ほとんどが凹凸のある壁になっています。一般的には凹凸のないまっすぐな壁が好まれる傾向がありますが、今回のように細長い住戸形状ではまっすぐな壁は逆に閉塞感を生み出しかねません。そこで今回は逆に壁の凹凸を積極的につくることで、住戸内に様々な居場所がつくれるように計画しました。また間取りだけでなく床にも積極的に段差をつくることで、そこをベンチや収納として使うなど、いろいろな場所でいろいろな使い方ができるようになっています。
外構について。
各住戸のアプローチ空間である建物北側については、凹凸のある建物外壁と敷地境界塀の間に、必要最低限の通路を確保しつつ、それ以外の余剰空間をすべて植栽帯としております。建物外壁の凹凸に連動するかたちで植栽帯を配置しているので、外構が単調にならず、豊かな外部空間を創出しています。
建物の名前について。
この建物がkomagome terraceという名前が付いているのには理由があります。そもそもterraceという言葉は「段丘」を意味する語に由来があるとされています。この建物ではいわゆるテラス(ベランダ)を無くす代わりに、室内と屋上に積極的に段床(terrace )を取り込んだ設計としています。段丘の肥沃な土壌が豊かな作物を生むように、内外の段床が多くの居場所をつくり、それが豊かな生活のきっかけになる事を願っております。
Fuji&ミッキー